秘書検定1級は、秘書の職務について理解を十分に持ち、専門的な秘書業務に関して高度な知識、技能を発揮することが求められてるほか、他の級にはない英検2級以上の英語力も求められています。秘書検定1級がどのような試験なのか理解しておきましょう。
秘書検定3級が入門編、2級がビジネス欠かせない知識レベル、準1級は上司からの相談や後輩へのアドバイスなどができる中堅の秘書像であるのに対し、1級は上司の仕事を理解し、今何をしなければならないのか判断する、先を読んで上司をサポートできる上級秘書のレベル設定がされています。
準1級からは面接試験が実施されるため、2級や3級に比べると難易度は大きく上がりますが、1級になると筆記試験は記述問題のみとなっており、難易度は準1級に比べてさらに上がります。
合否は筆記試験と面接試験の両方で考慮されるのではなく、筆記試験に合格した人のみ、面接試験に進むことができます。
秘書検定準1級までは、秘書を目指す人だけでなく、ビジネスシーンでの知識、立ち振る舞いに関するスキルを証明したい人、就職でスキルをアピールしたい人、就職活動での面接対策として考えている人が多く受験しており、社会人だけでなく、大学生も多く受験しています。
一方、1級は現役秘書や社会人がスキルを証明するため、または日頃の仕事の仕方を再確認するのを目的として受験する方が多くいます。
なお、1級の試験は6月、11月の年2回実施されていますが、他の級との併願はできません。就職までに合格したい人にとっては、6月の試験を練習として面接の雰囲気を経験し、11月での合格を目指すことができます。
1級の合格率は試験回ごとに変動がありますが、概ね20%台で推移しており、過去5年間の結果を見ても20〜30%となっています。準1級の合格率が30〜40%であることを考えると、1級は準1級に比べてさらに難易度が上がることがわかります。
筆記試験の出題範囲は各級に共通して「理論」と「実技」の2つに区分されています。理論は必要とされる資質や職務知識、一般知識が問われ、実技はマナーや接遇、技能が問われます。
なお、準1級および1級においては、筆記試験が合格したのちの面接試験で不合格となった場合、その後1年間の受験(2回分)では筆記試験が免除されますので、面接試験に絞った対策を講じることができます。
試験は記述式が増えるほどに難易度が上がります。もっとも受験者数が多い2級が記述式1割、マークシート式9割であるのに対し、準1級は記述式5割、マークシート式5割、1級はすべてが記述式となっています。
そのため、1級は確かな理解力と応用力が必要とされており、問題文をしっかりと読み込み、問題の状況を正しく把握することが重要となります。また、漢字で書くべきところは漢字で書くなど、丁寧な文字を心掛けることが必要となります。
採点者に伝わりやすいよう、わかりやすい文章をきちんと丁寧な文字で記載することを心掛けましょう。
面接試験は2人一組のロールプレイング形式で、一組11分程度で行います。ロールプレイングとは自分が設定上の人物になりきって演技するものであり、与えられた状況課題に合わせて、自分がその場で対応している人になりきっている姿が審査されます。
面接試験の課題は「報告」「対応」の2つですが、面接室内での態度や立ち振る舞いも審査対象となります。きちんとしているか、丁寧な応対であるか、明るく生き生きとした立ち振る舞いであるかが審査のポイントとなります。
秘書検定1級の合格に求められている水準は、秘書の職務について理解を十分に持ち、専門的な秘書業務に関して高度な知識、技能を発揮することができることと定義されています。これは上級秘書として専門的な業務がこなせるレベルであり、上司から仕事面で信頼されるくらいの能力が基準といえます。
試験には準1級までの出題領域に加えて、英検2級程度の英語に関する項目が加わります。秘書検定1級の具体的な審査基準を以下に示します。
領域 | 内容 | |
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T秘書の資質 | 1.秘書として備えるべき要件 | 専門的な仕事について十分に処理する能力がある。判断力、記憶力、表現力、行動力がある。機密を守れる、機転が利くなどの資質を備えている。 |
2.要求される人柄 | 身だしなみを心得、良識がある。 誠実、明朗、素直などの資質を備えている。 |
|
U職務知識 | 1.秘書の役割と機能 | 秘書の役割と機能を知っている。 上司の機能と、秘書の機能の違いを知っている。 |
V一般知識 | 1.社会常識 | 社会常識を備え、時事問題について十分な知識がある。 |
2.経営学 | 経営学、経営管理について、一般的な知識がある。 | |
3.一般会計・財務 | 簿記、会計、財務について一般的な知識がある。 | |
4.経営法務 | 商法、手形法、小切手法について、一般的な知識がある。 | |
Wマナー・接遇 | 1.人間関係 | 人間関係の理論を十分に知っている。 |
2.マナー | 社会常識、ビジネスにおけるマナーを十分に心得ている。 | |
3.話し方・接遇 | 話し方と人間関係の結びつきがわかる。 高度な敬語の活用ができ接遇用語が使える。 複雑な面接会話、電話会話、複雑で長い報告、説明、複雑な苦情処理、説得、真意をとらえる聞き方ができる。 忠告が受けられ、忠告のしかたを十分に理解している。 状況に応じた言葉遣いが十分にできる。 |
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4.交際の業務 | 慶事・弔事の次第、庶務を心得、専門的な情報収集と処理ができ、贈答のマナーを専門的に知っている。 上司加入の諸会の事務を扱う事ができる。 広告、寄付などに関する取り扱いと事務ができる。 |
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X技能 | 1.会議 | 会議に関する知識、会議の進行、手順について知識がある。 会議の計画、準備、事後処理が十分にできる。 |
2.文書の作成 | 社内外文書の作成、口述の要領筆記ができる。 会議の議事録が作成できる。 折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフを書く事ができる。 |
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3.文書の取り扱い | 受発信事務ができる。 郵送方法、秘扱い文書の取り扱いについて十分な知識がある。 |
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4.事務機器 | 事務機器の適切な選択と使用ができる。 | |
5.ファイリング | 適切なファイルの作成、整理、保管ができる。 | |
6.資料管理 | 名刺の整理が十分にできる。 与えられたテーマの簡単な情報収集、整理ができる。 業務上必要な資料類の整理、保管、要求された社内の資料を探すことができる。 |
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7.スケジュール管理 | 上司のスケジュール管理が十分にできる。 | |
8.環境の整備 | オフィスレイアウトの知識を持ち、オフィスの整備、管理ができる。 | |
9.事務用備品・事務用品 | 事務用備品・事務用品の使用、選択、配置、補充などができる。 | |
10.英語 | (財)日本英語検定協会が実施する文部科学省認定の実用英語検定試験2級以上、またはそれに相当する実力がある。 |
秘書検定1級の難易度は、もちろん秘書検定の中で最難関です。合格率は20%台であり、現役秘書でも苦戦するレベルとなっています。
2級までは一日1時間、一カ月程度の独学で合格できるレベルですが、1級は筆記試験の問題すべてが記述式であるため、しっかりとしたトレーニングが必要となります。
また、面接試験対策も必須であり、一日2時間程度の勉強を半年続けるくらいの覚悟が必要です。テキストやDVDを使った独学も不可能ではありませんが、通信講座や予備校を活用することができれば効果的に勉強することができます。
特に予備校の場合は面接試験の実技試験を行うことができるため、面接試験未経験者の受験生に比べると、合格率に大きな差が出てきます。
また、1級は筆記及び面接試験合格後1年以内に英検2級以上、またはTOEIC470点以上の取得が条件となりますので、これらを取得していない方は英語の勉強も必須となります。
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