秘書検定準1級は、秘書の職務について理解を持ち、専門的な秘書業務に関しての知識、技能を発揮することが求められています。つまり、秘書として一般的に求められている技能水準を超え、上級秘書を目指す人の出発点レベルといえます。秘書検定準1級がどのような試験なのか理解しておきましょう。
秘書検定3級が入門編、2級がビジネス欠かせない知識レベルであるのに対し、準1級は上司からの相談や後輩へのアドバイスなど、判断力や対応力が求められる中堅の秘書像として、レベル設定がされています。
2級に比べると難易度は大きく上がり、2級・3級までは筆記試験のみでしたが、準1級からは面接試験も実施されます。筆記試験と面接試験の両方で考慮されるのではなく、筆記試験に合格した人のみ、面接試験に進むことができます。
秘書を目指す人だけでなく、ビジネスシーンでの知識、立ち振る舞いに関するスキルを証明したい人、就職でスキルをアピールしたい人、就職活動での面接対策として考えている人にとっては、秘書検定2級よりも準1級の方がかなり有効であると言えます。
なお、準1級の試験は6月、11月の年2回実施されていますので、就職までに合格したい人にとっても、6月の試験を練習として面接の雰囲気を経験し、11月での合格を目指すことができます。
準1級の合格率は試験回ごとに変動があり、20%台になることもあれば、40%を超えることもあります。過去5年間の結果を見る限り、30〜40%で推移しています。
2級の合格率が50〜60%であることを考えると、準1級は2級に比べてかなり難易度が上がることがわかります。なお、1級になるとさらに難易度は上がり、合格率は20〜30%まで下がります。
筆記試験の出題範囲は各級に共通して「理論」と「実技」の2つに区分されています。理論は必要とされる資質や職務知識、一般知識が問われ、実技はマナーや接遇、技能が問われます。
筆記試験の合格基準は理論、実技のいずれでも60%以上を得点することで合格となります。
なお、準1級および1級においては、筆記試験が合格したのちの面接試験で不合格となった場合、その後1年間の受験(2回分)では筆記試験が免除されますので、面接試験に絞った対策を講じることができます。
試験は記述式が増えるほどに難易度が上がります。もっとも受験者数が多い2級が記述式1割、マークシート式9割であるのに対し、準1級は記述式5割、マークシート式5割となっています。
記述式が2級3級に比べて増えた分、難易度も上がりますので、選択式問題は確実に正解する必要があります。また、記述式は問題をよく読むことが大切であり、「何が求められているのか」をしっかりと読解し、それにこたえる必要があります。
採点者に伝わりやすいよう、わかりやすい文章をきちんと丁寧な文字で記載することを心掛けましょう。
面接試験は3人一組のロールプレイング形式で、一組10分で行います。ロールプレイングとは自分が設定上の人物になりきって演技するものであり、与えられた状況課題に合わせて、自分がその場で対応している人になりきっている姿が審査されます。
面接試験の課題は「あいさつ」「報告」「状況対応」の3つであり、それぞれの審査員に向けて、あいさつをする、上司に話す言葉で報告をする、審査員をお客様だと思って応対することを行います。
秘書検定準1級の合格に求められている水準は、秘書の職務について理解を持ち、専門的な秘書業務に関しての知識、技能を発揮することができることと定義されています。
つまり、秘書として一般的に求められている技能水準を超え、上級秘書を目指す人の出発点レベルといえます。
出題される内容もより複雑・高度になり、さらに準1級からは面接審査も行われます。しかし、学生で準1級を取得している人もいますので、秘書の実務経験がなくても勉強の方法次第で合格の可能性はあります。秘書技能検定準1級の具体的な審査基準を以下に示します。
領域 | 内容 | |
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T秘書の資質 | 1.秘書として備えるべき要件 | 専門的な仕事について処理する能力がある。判断力、記憶力、表現力、行動力がある。機密を守れる、機転が利くなどの資質を備えている。 |
2.要求される人柄 | 身だしなみを心得、良識がある。 誠実、明朗、素直などの資質を備えている。 |
|
U職務知識 | 1.秘書の役割と機能 | 秘書の役割と機能を知っている。 上司の機能と、秘書の機能の違いを知っている。 |
V一般知識 | 1.社会常識 | 社会常識を備え、時事問題について十分な知識がある。 |
2.経営学 | 経営学、経営管理について、一般的な知識がある。 | |
3.一般会計・財務 | 簿記、会計、財務について一般的な知識がある。 | |
4.経営法務 | 商法、手形法、小切手法について、一般的な知識がある。 | |
Wマナー・接遇 | 1.人間関係 | 人間関係の理論を知っている。 |
2.マナー | 社会常識、ビジネスにおけるマナーを十分に心得ている。 | |
3.話し方・接遇 | 話し方と人間関係の結びつきがわかる。 敬語の活用ができ接遇用語が使える。 複雑な面接会話、電話会話、長い報告、説明、苦情処理、説得、真意をとらえる聞き方ができる。 忠告が受けられ、忠告のしかたを理解している。 状況に応じた言葉遣いができる。 |
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4.交際の業務 | 慶事・弔事の次第、庶務を心得、一般的な情報収集と処理ができ、贈答のマナーを専門的に知っている。 上司加入の諸会の事務を扱う事ができる。 広告、寄付などに関する取り扱いと事務ができる。 |
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X技能 | 1.会議 | 会議に関する知識、会議の進行、手順について知識がある。 会議の計画、準備、事後処理ができる。 |
2.文書の作成 | 社内外文書の作成、簡単な口述の要領筆記ができる。 会議の簡単な議事録、折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフを作成できる。 |
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3.文書の取り扱い | 受発信事務ができる。 郵送方法、秘扱い文書の取り扱いについて十分な知識がある。 |
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4.事務機器 | 事務機器の適切な選択と使用ができる。 | |
5.ファイリング | 適切なファイルの作成、整理、保管ができる。 | |
6.資料管理 | 名刺の整理が十分にできる。 与えられたテーマの簡単な情報収集、整理ができる。 業務上必要な簡単な資料類の整理、保管、要求された社内の資料を探すことができる。 |
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7.スケジュール管理 | 上司のスケジュール管理が十分にできる。 | |
8.環境の整備 | オフィスレイアウトの知識を持ち、オフィスの整備、管理ができる。 | |
9.事務用備品・事務用品 | 事務用備品・事務用品の使用、選択、配置、補充などができる。 |
秘書検定準1級を受験する人は、大学生と社会人がそれぞれ半分くらいとなっています。出題範囲の内容は、社会人にとってはすでに当たり前のビジネスマナーであったりもしますが、大学生にとってはこれから学ぶべきことがたくさんあります。
準1級から面接試験があるために難易度が高くなりますが、独学での合格が不可能なわけではありません。準1級用のテキストや過去問が販売されていますので、テキストに記載されていることをしっかりと理解し、過去問などを反復して記述問題に慣れておくことが大切です。
面接試験対策は予備校に通ってロールプレイング対策できることが理想ですが、さまざまな状況に対して自分の言葉をまとめる練習を繰り返し、それを声に出して伝える練習を反復すれば、独学での面接試験突破が見えてきます。
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